三菱一号館のマリアノ・フォルチュニ展へ行ってきました

2019年10月6日(日)まで、丸の内の三菱一号館美術館でマリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展が開催されています。
ピエリアの美術イタリア語スタッフHくんが裏方として尽力したということで、ご案内をいただき見に行ってきました。
ご存知ですか?マリアノ・フォルチュニ。
私は恥ずかしながら、この展覧会で初めて知りました。
1871年にスペインのグラナダで生まれ、ローマとパリで育ち、ヴェネツィアで創作活動を行った芸術家。
コスモポリタンです。かっこいい。
絵画や版画、舞台装置も製作していますが、1番有名なのは、展覧会のチラシにもなっている「デルフォス」というプリーツのドレス。
少しオリエンタルなムードが漂い、本当に優雅。
化学染料がもてはやされた時代でしたが、フォルチュニは天然の染料にこだわったそうです。
胸元やウェストの調整にはヴェネツィアングラスのとんぼ玉が使われています。
うっとり……。
戦前のヴェネツィアにタイムスリップしたような展覧会で、本当に楽しかったです。
フォルチュニは馬の毛のアレルギーがあったので、馬車を避けるためにヴェネツィアに住み、そこにアトリエを構えました。
ペーザロ・オルフェイ邸というお屋敷です。
現在は、フォルチュニ美術館となっています。
……ペーザロ・オルフェイ邸?
ヴェネツィアにはカ・ペーザロという美術館があるのでそこかと思って調べたのですが、そことは別みたい。
「地球の歩き方」には出ていない美術館なので、行かれる方はホームページ(イタリア語・英語)を参照してくださいね。
フォルチュニ美術館、行きたいなあ。
調べ物をするうちに、ヴェネツィアにも行きたくなってきました。
フォルチュニの作品に漂うオリエンタルなムードは、ヴェネツィアっぽいですよね。
でもそれだけではないんです。
実は、フォルチュニの両親はジャポニズムの影響を直に受けた世代。
なので、フォルチュニの作風には日本のテキスタイルも大きく影響しているそう。
三菱一号館には、フォルチュニ家が所有していた着物も展示されていました。
相当な数です。型紙などもあって、かなり研究されていた様子。
それなのに……!
着物はガウンとして着用していたようです(奥様)。
がーん。
着物って、ものすごく完成された形だと思うんです。
崩さずに、正統派の着方をするのが一番かっこいい。
きちんと着物を着ると、不思議とその人の個性が浮き彫りになります。
私はそれを観察するのが大好きです。
ごまかしのきかない、ミニマルな美。
東洋ならではの美。
それなのに……、それなのに、こんなに美しいものを愛する芸術家でも、西洋人は着物をガウンにしてしまうのですね。
着物の柄を再現するよりも、着付けを習得する方がはるかにかんたんそうに見えますが。
外国のことをきちんと理解するって本当に難しいんだなぁ。
そう考えると、私たちが動詞の活用や文法を間違えるのなんて、かわいいものですね、きっと。
異文化は、大らかな心で楽しみましょう。

